№1 上江幹線用水路

こんにちは、現場HP担当の あおき です。

現場周辺情報の第1回目は、今回の工事の対象である「上江幹線用水路」です。

何を隠そう「上江幹線用水路」は、県内で初めて「世界かんがい施設遺産」に登録されたすごい用水路なんです!

 

☆「世界かんがい施設遺産」とは
かんがいの歴史・発展を明らかにし、理解醸成を図るとともに、かんがい施設の適切な保全に資することを目的として、
建設から100年以上経過し、かんがい農業の発展に貢献したもの、卓越した技術により建設されたもの等、
歴史的・技術的・社会的価値のある かんがい施設を登録・表彰するために、
国際かんがい排水委員会(Icid)が、2014年に創設した登録制度です。

収穫直前の稲も残る風景

締切って水位が低くなった用水路内

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★「上江幹線用水路」の概要
上江幹線用水路は、新潟県南西部の上越市及び妙高市の山腹沿いを中心に位置し、全長約26㎞のとても長い水路です。
この水路は、およそ400年前に工事が始まり、先人達の努力によって土水路として完成しました。
その後、昭和に入ってから改修され、現在のコンクリート三面張り水路となりました。
上江幹線用水路は一級河川関川から取水し、約3,000haの水田に用水を供給しています。

用水路上流の「笹ヶ峰ダム」

用水路上流の「苗名滝」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★「上江幹線用水路」の歴史
上江用水ができる以前は、用水不足による不作や干ばつの被害に農民は悩まされており、
農民は自らの農業生産性を確保するために、関川を堰き止め取水し、それを導く用水路を“自力”で開削したのが、
上江用水の始まりと言われています。

約400年前から始まった工事は、以下の3期に分けられます。
第1期工事 天正年間から正保年間まで(1573~1648年) 新井市川上地内から吉木新田地内まで
第2期工事 慶安年間から元禄年間まで(1650~1694年) 新井市吉木新田地内から清里村上深沢地内まで
第3期工事 明和年間から安永年間まで(1772~1781年) 清里村上深沢地内から三和区岡木地内まで

第3期工事の最下流部 『三方』(三和区岡木)

たこ「わいは8本、あんたは3本」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回、当社が補修するのは、第3期工事に開削された一部分になります。
その第3期工事をリードした人物が、川浦村(現・三和区川浦)の庄屋の下鳥冨次郎と言われています。

冨次郎は、祖父、父の3代にわたり、干ばつに苦しむ農民のため、
代官所や江戸奉行所(今でいう役所のようなところ)に幾度も上江用水の堀り継ぎについて願い出ています。
その度に周辺の村々からの反対があり認められませんでしたが、冨次郎は諦めず、
自分達が直営で工事をすることを条件に、ようやく堀り継ぎ工事が認められ、1772年に工事が始まりました。
しかし、当時としては稀に見る難工事となり、工事には莫大な費用を要したため、
冨次郎自身の私財を投げ売って、その資金を工事費に充てました。

3代にわたる悲願は約90年の歳月を費やし、ようやく上江用水が完成し、
その後、毎年のように干ばつに悩まされていた村々の田畑は、一転して肥沃な美田に変わりました。
三和区にある『上江北辰神社』では、冨次郎が守護神として祀られており、今日までその功績を後世に伝えています。

下鳥冨次郎を祀る『上江北辰神社』(三和区川浦地内)

たこ とお参りしてきました

 

 

 

 

 

 

 

 

綺麗に整備され、様々な記念碑があります

(ほぼ)全景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

このように、「上江幹線用水路」は、長い年月をかけてつくられ、長い年月にわたり人々の役に立ってきました。
「世界かんがい施設遺産」に登録されるのも納得です。
約26㎞と長いですが、今回最下流部まで行ったので、いつか最上流部まで行ってみたいです。

 

ちなみに、現場代理人の猪爪さんは、数年前に笹ヶ峰ダムでの施工もしています。
そのときに私が取材した「笹ヶ峰ダム」「苗名滝」が「上江幹線用水路」とつながっていると知ったときは驚きました!
(そのときの現場HPに載せた写真も今回載せてみました。)
三和区ではありませんが、上流にも素敵な場所がたくさんありますので、少し足を延ばしてお出かけになってみてください。
(これからの季節は積雪がすごいため、来年の春~がオススメです。)

 

今回ご紹介した「上江幹線用水路」について、もっと詳しく知りたい方は、
新潟県HPの下記ページをご覧ください。

上江用水路が『世界かんがい施設遺産』に登録されました。

農業水利施設の歴史探訪シリーズ vol.1 『上江幹線用水路』

この記事を作成するにあたり、上記を引用、参考にさせていただきました。ありがとうございました。